切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

手提げかばんールドウテの花と市松

「人棲まぬ隣家の柚子を仰ぎけり」(横光利一

先日、野暮用で日ごろ通らぬ道筋を辿った折でした。滅多に通らぬ路地ですが、珠に通る折には、近道になるので、私道になるのでしょうが、狭い道筋にある一軒のうちを見るのが楽しみでそこを通るようにしています。そのうちには、駐車スペースの延長上のコンクリートの空間を最大限に利用して、入れ替わり季節の植木鉢がずらりと並んでいるのです。記憶にあるのは、アマリリスカサブランカ、菖蒲、そうして菊。ところが、そこには、スタンバイしているはずの例の花を支える針金の枠台で支えられた茎が並んでいません。そのまた、隣のおうちにはフェンスに絡めた蔓バラが初夏になると白い花が見事に咲き乱れるのですが、セイタカアワダチソウの森になっています。そのまた数件先のおうちにはそろそろ富有柿があり、色づく時季。ここ数年誰も採る人がいないのか、樺色になっては唯一鳥さんだけに見守られていましたが、何と防音シートのかけられたビルの建設中になっています。

「蛤になりそこねてや稲雀」(子規)

雀蛤とは、中国の昔からの俗信『雀入大水為蛤(雀大水に入り蛤となる)』にあるそうです。雀と蛤の模様が似ていることからではと言われているとか、雀が見かけなくなると、海の蛤と化したかと思ったとか。何とも奇想天外な転身ですが、そこには夢がありますね。一年を通じて季節の花で埋めるのに精魂を込めて来られた主も、蔓バラの誘因を細目にされていた夫婦も、富有柿の主も、思いもかけぬ転身を果たされているのだろうと夢想しようと思います。

「雀蛤と化して食はれけるかも」(櫂未知子

決して

「蛤とならざるをいたみ菊の露」(夏目漱石

という思いだけは至りませぬようにと思いつつ、

「木登りの木も減り雀蛤に」(加藤静夫)

 

小物作りにまで、手を広げるとはと思いつつ、もう後には引けないのでしょうね。切屑と、糊置きの干からびた糊屑、おまけに糸屑と、机には切り台と糊置き道具に、ミシンが入れ替わり置かれては置き直しの繰り返しです。やりたいのは切ることだけだったのがと、思いつつ、手休めになると言い聞かせています。

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Les opérations concernant les transferts d’ordre auxquels donnent lieu les reconversions, réunions, divisions et renouvellements des rentes au porteur qui s’effectuent actuellement dans l’enceinte du palais de la Bourse