切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

額入り:若冲へちま

「無花果の 弾けた中で 蟻至福」

夏の湿度が高い頃には、恥ずかしくも水虫で悩まされたはずの足が、今では、歩くのも辛くなるほどに踵がひび割れ出血。ついつい、油断しているとこの両極端に振れているとは何とも情けない。踵の割れた様を見ていると、見過ごされた割れた無花果が蘇ります。そこには、シメシメと言わんばかりに蟻がいます。その所為か、どうも私は余り無花果が好きになれません。

「無花果は買ふものでなし頬ばれり」(田岡千章)

父は無花果が好きで、庭に出ては頃良いのを手さぐりしては食べていました。いつか、余りに沢山なり過ぎて、父が喜ぶかとジャムにしたことがあります。皮を剥いていると乳白色の汁で手が粘って来て、皮が実に残るのを洗っては丁寧に剥く、そんな気の遠くなる作業をした割りには、余り美味しい出来にもならず、父はもぎ取ったばかりの実を食べたかったのだろうなあっと、後で思う始末。店頭には、お行儀よくケースに入って売っています。実家から離れた折は、売られているのが実に不思議で仕方がなかったものですが、慣れたものの、お金を出して手に入れたくはなりません。

「二フランに買ういちじくと一会かな」(谷岡尚美)

いつか、懐石料理に青無花果が出ました。それはあの甘ったるい熟れた柔らかい無花果の味とはまるで違って、上品なあっさりした甘みと粒の触感が残っているような程よい固さがある何とも美味な物でした。ならば、熟れる迄待たずに収穫すれば、この醍醐味が楽しめるのかと思いましたが、どうも種類が違うのだそうです。2フランとあるからこれはカナダではないかしら。聞くところによれば、カナダの無花果は小ぶりで青い間に食べるのだそうです。日本でも季節限定で売られている地域があるのだそうです。

「どんな闇を閉じ込めているのだ無花果」(増田幽黙)

「九」という苗字の方の読み方は、よく話題になりますが、十に一つ足りないから「いちじく」花の無い果実では余りにも縁起がよくないからと、苦肉策だったとか。哀れ無花果ですね。でも、二つに割ってみると、あの粒々が詰まっている様子を見ていると、戦火を思い出す人も居られるでしょうが、それを知らない世代には、何か吸い込まれそうな闇が潜んでいるような気がします。

「無花果やテロの恐怖の去らぬ国」(坂上香菜)

隣のうちの無花果の熟れるのを日に日に見つめているような、平和な日々など想像も出来ずに、釣り船まがいにびっしりと乗り込み、嵐にまみれ、手で水をかき出し、最終は送還される人々。島国の日本は安泰だなどと、いつまで言っていていいのでしょうか。無花果の皮が小舟に見え、一粒ずつが人に見えたら、思わず割ったはずの実を閉じてみても、その実をどうしたものでしょうか。まさか、手の中でジュースになるまで持っている訳にはいきませんね。

 

若冲の糸瓜群虫図の虫が好きで一度やってみたくて、染めように切りましたが、空間の部分がしっかり固定されるように蜘蛛の巣を少々(?)足しましたが、肝心の虫がどこに居るのかわからなくなてしまていますねf *。*;  細長い軸なので、額選びに苦労しました。

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La figue ne tombe jamais en plein dans la bouche.

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