切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

若冲天井画花卉図ー薊

「犇(ひし)めきて枇杷の花咲く老の家」(樋口千恵)

枇杷の花が冬の季語だと知って、「へえ、そうだったかしら」などと、実家には小さな実しかならなかったのですが、大きな枇杷の木があったのに、花咲く時季など気にも留めていなかったのだと改めて知る始末です。そういえば、この近所にも、大きな枇杷の木のある家の事を思い出して足を伸ばして見ましたら、咲いていました。

「人棲まぬ家に咲きゐて枇杷の花」(野田ゆたか)

さて、ここの住人はと、思いながら眺めていると、通りがかりの人が「そうね、どうかしら、子供が小さい頃はよくお世話になったお医者さんだったんだけどね」とのこと。手入れされないのか、以前にも増して、一段と太陽の日差しを求めて、枝は四方に高く広がり、路地は暗がりとなり、路地向かいの家をも覆い尽くしそうになっています。

確かに花は咲いていましたが、蜂がブンブンと飛んでいる様子が見えて、漸く実家の花咲く風情を思い出しました。冬の寒い時季に咲く花は物悲しく地味な花で、木枯しに叩かれて地面には黄ばんだ小さな花が敷き詰められるのです。

「寂しさの身に添ふころや枇杷の花」(松山寿美)

立ち話の苦手な私ですが、そこのおうちの事は通りすがりの人づてに何度か聞く機会があります。息子さんが住んでおられるような話も聞きましたが、昔はモダンな洋館だったのでしょうが、今ではそこら中が朽ちて、枇杷の周りにはジャスミンがはびこっています。その花の時季には一面が薄く桃色がかった色に染まり、一体はいい香りを通り越して「ムンムン」と匂いが立ち込めます。住んでおられるなら息子さんはさぞや家の中で息苦しくならないのだろうかなどと、次々と、ミステリーが頭に綴られます。

空き家条例が次々自治体で勧告されるようですが、植木などはあっさり切り捨てられるのでしょうか。枇杷の花は侘しさを誘い、家主を求めて薫るようです。

f:id:masasarah:20151204171539j:plain

Le nom bibacier, arbre à biba, vient du chinois pípá guǒ 琵琶果, signifiant fruit [en forme de] pípá (琵琶), un instrument de musique. La graphie chinoise de l'arbre a ensuite changé tout en remplaçant la clé des deux pièces de jades utilisé pour les instruments à cordes (珏) par celle du bois destiné aux arbres (木) la prononciation de l'instrument y est conservée ; pípá 枇杷. Le fruit tout comme l'instrument de musique "biwa" en japonais ont donné leur nom au lac Biwa près de Kyoto