切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

ステンドグラス風:ミューシャ③

「皸といふいたさうな言葉かな」(富安風生)

皸、「あかぎれ、あかがり」と読むそうですが、晩冬の季題。ここ、暖冬の声はどこへやらと、急転直下の冷え込み。カイロを慌てて引っ張り出して貼り出しましたが、指先は覿面ですね。親指の爪端の皮膚がぱっくりと口を開け、糊置きしていた白生地に血がつく有様。

あかぎれに紙漉く水のつきささり」(紀久枝)

紙漉きはしたことはないですが、ただ今、型染めをまた始めましたが、防染糊というのは温度が高くなると固まり、下がると溶けますので、使った型紙の糊を剥がすのには、冷水でないと綺麗に剥がれません。渋々、「えいや」っと、大嫌いの冷水と対決です。

こんな事をしていると、私は絶対に無人島の一人暮らしは出来ないだろうなあっと。南の島なら大丈夫かな。そう思うのも、今朝の新聞の訃報欄で見つけた本のタイトル。「フライデーあるいは太平洋ほ冥界(Vendredi ou les limbes du Pacifique) 」。作者ミシェル・トゥルニエ氏の最初の小説。ロビンソンクルーソーの現代版というかフランス版。私の中では、他には漂流物でお国柄が鮮明になるのが、吉村昭の『漂流』にトム・ハンクスの「Cast Away」。英国のストイックさのデフォーのロビンソン・クルーソートゥルニエ氏のフライデーは正にフランス風、吉村は江戸庶民の気風から伝わる日本魂、サッカーボールに顔を書いたトムハンクスの孤独生活はやはり軽妙なアメリカ風。

トゥルニエ氏のタイトルにもなっているこのフライデーについて少し書き足します。、漂流した島で救い出した原住民の命名の仕方です。どうして「金曜日」と付けたのか。列記としたキリスト教徒ともなるような名前を付けてやる気にはならず、ロビンソンは、拾った日が金曜日であることから、人名でも普通名詞とも無縁の語、「金曜日」を選びます。そうして最後には、フライデーが去った後にやって来た少年に「木曜日」と付けてこの小説は終わります。

91歳。また一つの時代を作った人が消えました。ご冥福をお祈りいたします。

 

以前に切った作品をアップしましたが、中々色づけせずに放置していましたら、どうもやはり黒一色より色を入れた方が人気があるようですね。シンプルな透明の額を見つけましたので、それに合わせて色づけしてみました。

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Il s'avisa ainsi qu'autrui est pour nous un puissant facteur de distraction, non seulement parce qu'il nous dérange sans cesse et nous arrache à notre pensée actuelle, mais aussi parce que la seule possibilité de sa survenue jette une vague lueur sur un univers d'objets situés en marge de notre attention, mais capable à tout instant d'en devenir le centre.(Vendredi ou les limbes du Pacifique, Michel Tournier)