切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

染め型モーリス風①-1

「濡れゆくも春を誘ふ雨なれば」(西崎佐知)

ここ数日の天気予報では今日は気温が10度も下がり冬日になるとか言ってましたが、それほどでもないですが、暖房についつい手がいき、また少し冬戻り。でも、春を呼ぶ雨には、ダウンコートから一端スプリングコートに衣替えしてしまうと、冬色には戻る気がせず、伊達の薄着では身に染みるでしょうね。

「降るるとも見えず春雨葉を濡らす」(前田みのる)

こんな日には霞が似合い、芽吹きだした木々はじっと息をこらすのでしょうか。

「竹林に春子の楕木寄添ひて」(長嶺勇)

榾木(ほたぎ)とは、しいたけの菌を植え付けた原木を指します。昔、父が山から伐採してきた椎の木に種菌を埋めるのを手伝ったことがあります。ドリルで原木に穴を空けていきます。そこに種菌を埋めていくのですが、ドリルで削り取られた破片から丸く切り取られた木の皮を拾ってそれで蓋をしていくのですが、ドリルの音が響く中で、空いた穴に菌が埋まり、ぴっしりと皮の蓋が納まって行くという単純な達成感が何とも言えず嬉しかったのを未だに手が覚えています。

「春子なり藪に育ちて傘大き」(城戸愛子)

こんな雨が降ると、つい実家の竹藪の中に並べられた榾木が気になり出します。冬の間は菌も委縮して、芽を出したまま成長も進まぬままに、干し椎茸になってしまっていますが気温の上昇とこんな雨が降り出すと、一気に大きくなり原木の裏側にはお化けキノコが出没します。

セシウムの多き春子やまた捨てて」(千葉恵美子)

今朝の新聞記事に、99%減という見出しがありました。榾木の生産量で福島県は2010年には、全国3位を誇っていたのだそうですね。それが原発事故の影響で14年には99%減少。未だに放射能汚染は指標値を越え、出荷再開の見通しは立たれたままだそうです。それでも、生育環境を整える手入れは欠かさず行われ、それ自体が除染にもなるのだそうですが、その労力が報われる日があるのか携われる方々のご苦労に心痛むばかりです。

 

染め用に、型を切り出しました。性分なのでしょうね、どうしても、細かい絵柄を見るとじっとしておれなくなり、ついついコピーしては切り出してしまいます。反物の幅36cmを基準にしていますので、結構な量となります。やり出した頃は楽しいのですが、段々手がしびれて来ると一枚仕上げるのには気が遠くなる時があります。まだ3分の1ぐらいでしょうか。

f:id:masasarah:20160309090036j:plain

“Les champignons sortent avec leur petit parapluie trop tard.”