切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

ブックカバー④

「草笛のひやりと五月晴れにけり」(一茶)

湿度の少ない好天気。澄んだ空にもし畦を歩いたら、さぞや草笛がよく響くのだろうなあっと想いますが、隣の空地に生えたカラスノエンドウの実を採り吹く子も居ません。

「草笛の得意顔に鳴らずなり」(久保晴子)

草笛と言えば、あのイネ科の葉で、茎がストロー状になっている雑草。ところが名前が思い出せません。口から出てくるのが『雀』。最近このようにイメージだけが先行して言葉にならない事が実に増えました。仕方なく、草笛画像で検索したらありました。「雀の鉄砲」とりあえずは、雀の音が入っていましたが、こんな日常茶飯事に使っていた語が出て来なくなるとは情けない限り。

「畦を来て雀の鉄砲立ち揃ふ」(松本ああこ)

中の穂を抜き取って、茎の空洞を使って鳴らしますが、さて今となっては鳴らせるでしょうかしらね。

「草笛のやうやう吹けて風の土手」(大槻久美)

日焼けに時間の浪費など一切気にせず、日がな野原で綺麗な音がするまで葉を選び、気づいたら日暮れが来ていたようなそんな日。

「草笛の葉は幾千枚もありかなし」(山口青邨

言われた草引きの任務も忘れて、ひたすらいい響きを求めて、葉を毟っていたのでしょうか。

「草笛や月から来たといふ男」(谷口佳代子)

そうです。同じ葉なのに、巧みに奏でる子が居ましたね。「K-PAX 光の旅人」というケビン・スペイシーの映画が浮かび、彼ならさぞいい音色を出すのでしょうねっと。人の見方に聞こえ方の屈折が幸にも真逆にもなるかと思うと、人の世とは摩訶摩訶不思議。 

 

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Tout le printemps des paysages et des rivières monte comme un encens dans mon coeur, et le souffle de toutes choses chante en mes pensées comme une flûte.