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切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

陰影を生かした新たな試み④

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今日は漸く春めいた陽気となりました。ダウンジャケットも流石にもう出番はないでしょうかしら。いつまでも冷える日が続いた所為でしょうか。今年は木瓜の咲きだすのがとても遅かったような気がします。

木瓜咲くや漱石拙を守るべく」(夏目漱石

私のような凡人は「拙」そのものなので、敢えて述べるものでもなく、ボケを地で行く日々。この「拙を守る」は 陶淵明(365-427)の五言詩「帰園田居(園田の居に帰る)」に「守拙帰園田(拙を守って園田に帰る)」によるのだそうで、意味は「愚直な生き方、不器用な生き方を守りとおそうと故郷の田園に帰って来た」と。小説『草枕』にそれを解説するような文章があるのだそうです。

木瓜は面白い花である。枝は頑固で、かつて曲った事がない。そんなら真直(まっすぐ)かと云ふと、決して真直でもない。只真直な短い枝に、ある角度で衝突して、斜に構へつゝ全体が出来上って居る。そこへ、紅だか白だか要領を得ぬ花が安閑と咲く。柔かい葉さへちらちら着ける。評して見ると木瓜は花のうちで、愚かにして悟ったものであらう。世間には拙を守ると云ふ人がある。此人が来世に生れ変ると屹度木瓜になる。余も木瓜になりたい。(夏目漱石草枕』十二)

ところが世は凡人ほどに、驕りの中に埋没してしまう事もあるのでしょうね。稀勢の里は巡業を休場して治療に専念されるのだそうですが、内館牧子さんが行司の軍配に書かれた文言を引用されている記事がありました。

「知進知退随時出處」猪突猛進でなく、何事もタイミングなのでしょうか。さて、巷は事件事故が起こる度に流され消されることの繰り返し。愚直に見つめる目を持ちたいものです。やはり「拙を守る」ですね。 

 

春場所の写真を切り抜いたいたので、ちょっと試してみました。逆転の発想で、白いケント紙を凹に切り、下地の黒で浮き上がらせるという手法です。グレーで陰影を入れるつもりでしたが、このままもいいかなっと。

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Il faut distinguer la ténacité de l’obstination : savoir insister or persévérer au bon moment, savoir aussi se retirer et renoncer quand il le faut.