切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

「刻・街フェスタ」出展に向けて②

「振り上げて拳の行方四月馬鹿」(野田ゆたか)

吉田修一の「怒り」は映画化もされ妻夫木君が賞を貰われたのでしたかしら。私は原作だけを映画のキャスターを頭に描きながら読みましたが、ふと自分にも見えない拳が振り上げている時を思い返しています。なぜ、人は怒るのでしょうね。あの作品には冒頭で起こる殺人犯への猜疑心に苛まれる三者の心情を描いていますが、なぜタイトルが「怒り」なのでしょう。そこには、人を信じられるかどうか、そこに目覚めて消せない不信感が怒りへと燃焼していく過程を実にリアルに描いているような気がします。

「騙されるふりに嘘美し四月馬鹿」(村上唯志)

そんな不信感も、ふりの出来る余裕があれば穏やかな家庭となるのでしょうね。私の母は老けてからよく父と争いました。なぜあんなに怒るのだろうと思ったものですが、その起因には、加齢により聴力だけでなくあらゆる感度が鈍くなり、対話の中にどうしもうもない段差のようなものが生じていたのでしょうね。そうしてそれに気躓いて、両者の間につながっていたはずの信頼にヒビが入っていったのでしょうか。

「部屋ごとに時の違へる万愚節」(金久美智子)

我が部屋だけ少し早めの時間設定にしていたものですが、そうこうするうちに一体どの部屋の時計があっていたのやら。それも忘れて慌てて家を飛び出しては電車に間に合い「セーフ」と思う事があります。信頼と嘘は平穏な家庭に欠かせぬものかもしれません。さあ、どんな素敵な嘘がつけるでしょうか?

 

これは嘘ではありません。桜は見頃のはずです。是非お越しを。

akashi-hiroba.jp

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“La plaisanterie sert souvent de véhicule à la vérité.”

(de Francis Bacon)