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切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

重ね切り絵ー若冲犬

「苺ジャム男子はこれを食ふ可らず」(竹下しづの女)

昨日、路地裏を歩いていると、何とも懐かしい香りが漂って来ました。祖母の顔が浮かんで来て、さて何だったかなと思いめぐらすと判明しました。苺ジャムが炊ける匂いです。売り物にならないクズばかりを丁寧にヘタと傷んだ箇所を取り土鍋に入れて砂糖をどっさりかけて一晩置いて、コトコトとアクをとりながら煮詰めていく、腰を屈めた祖母の背中です。この句は昭和十年代の母が息子に告げた作だそうですが、今の世では思いも及ばぬ句となりました。

「不揃ひの苺自慢の甘さかな」(背水管子)

いつでしたか、自分でも摘みに行こうと苺畑に一人で行って大きそうな苺ばかりを摘んで来て食べていたら、母にそれはそれはこっぴどく叱られたのでした。畑は東と西にあったのですが、母に東の畑にしなさいよと言われていたのに、売り物ように植えてあった西の畑で私は摘んでいたらしく、明日の売り物の逸品を食べたようでした。あの時の口の中の苺の味が時たま私の中で蘇ります。今では、クリスマスにも苺がスーパーに並び、路地物が出来る時季など知る人も少ないのでしょうね。苺が汚れないように藁を敷き詰め、藁が畝から落ちないように割りばしで留めて、隙間から映える雑草を細目に抜き、雨の度に水を含んだ藁から発生した黴で出来る腐った苺を見逃さずも取り除く、そんな手まめな作業など、一パック数百円ではと、ご苦労が偲ばれます。

 

若冲の「百犬図」をアレンジして、和紙で切り絵にして、波型模様の切り絵と重ねてみました。出窓に置くと、波型模様の陰影が映って倍にして楽しめます。

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“Comme la fraise a goût de fraise, la vie a goût de bonheur.”