切り切りMme

自作の切り絵を紹介する

押し花シリーズー栞③

「朝厨実梅の香りみちをり」(南栄海)

f:id:masasarah:20180603150208j:plain

朝、梅酒とカリカリ梅を仕込み終えました。残念ながら、いつもですと厨は梅の香りで満たされるのですが、今回はラッキョウも一緒に作業をしたものですから廊下までがラッキョウの匂い尽くしに。

「梅仕事済ませ瞼の裏の闇」(ゆう)

梅仕事*という言葉が好きです。

 *6月ごろ、その年に収穫した梅の実を使って、梅酒梅干しなどをつくること。

梅を漬けると、脳裏を過るのが、宇江佐真理女史の未完となった、朝日新聞夕刊に連載されてました「うめ婆行状記」。毎日楽しみに読んでいましたが、ご本人の遺志により未完作として中断になった作品です。主人公は、主人がなくなり、皆の心配をよそに、一人暮らしを始めた初仕事がこの梅仕事。「合点承知」が口癖のきっぷのいい彼女は家族の問題を背負い込み、翻弄されながら江戸の下町の人情あふれるドラマ模様。今更に知ったのは、彼女のペンネ―ム宇江佐真理「ウエザ・リポート」というタイトルでエッセイを書くために決めたために付けられたのだそうです。何とも彼女らしいユーモアのセンス。また機会があれば読んでみたいものです。

日の丸弁当知ってますかと捥ぐ実梅」(物江晴子)

義母は梅干しが大の苦手。でも、主人も子供たちも大好きときていたものですから、仕方なく鼻を抓んで、毎年皆の食べるのを数えて漬けていたのだそうです。そんな義母の武勇伝と言えば、女学校時代に週一、戦地の兵隊さんの事を慮りに,日の丸弁当デーがあったのだそうです。その時、義母は白米に蒲鉾を同じ大きさに刻んで入れて行っていたのだそうです。息子たちが「おばあちゃん、見回り来た時ドキドキせんかったん?」「何で?私はだって、梅干しが食べられんのやもん。何もなかったらご飯たべられないのやで。それぐらいせんとー」そんな事もふと過る梅仕事完成の入梅前の晴れ間です。

f:id:masasarah:20180603144820j:plain

 Celui qui veut se faire pêcheur ne doit pas avoir peur de l'eau.